フランスのクリスマス料理の定番と言えば“フォワグラ” 今年は貴重な食材になるかもしれません。

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フランスのクリスマスでは伝統的に、シャンパーニュ(Champagne)ではじまり、アペロタイムや前菜にフォアグラや牡蠣、
サーモンなどを楽しみ、その後、メインディッシュとして七面鳥やホロホロチョウ、シャポン(chapon)の丸焼きを食べ、
最後にケーキ(ブッシュドノエル)などのデザートを食べるのが一般的です。

堅めのイチジクパンやライ麦パンを薄くスライスしてトースト、フォワグラは最低限手を加えたテリーヌ、
甘酸っぱいジャムをアクセントにソーテルヌ(貴腐ワイン)と合わせるマリアージュは鉄板中の鉄板だと思います。

しかし、時代の変化なのか昨今では、このフォアグラを辞めようという動きがフランス各地で起こり始めているようです。
以前はクリスマス時期の学校給食や公的行事のパーティーなどでも提供され、フランスのクリスマスの風物詩になっていたフォワグラも
都市によってはオフィシャルで排除することもあるようです。

理由としては、フォアグラの原料であるガチョウの給餌方法が「動物愛護の観点から好ましくない」ためでしょう。
SDGS、ビーガン、ベジタリアン、グルテンフリー、ビオ、オーガニックなど様々な食に対する多様性が広まっていく中、
世界的に見てもフォワグラは立場が厳しい食材と言えるかもしれません。

アメリカのニューヨーク市では既にフォアグラの販売を禁止しており、イタリア、ポーランド、イギリスやドイツなどでは
生産すら禁止しています。
フランスは世界のシェア8割を占めるフォアグラ生産国であり、美食的文化遺産のひとつとされているため擁護派と反対派の隔たりは
複雑なものとなっております。

実際、フランスの食文化は実に多種多様で歴史が深く、フランス人のアイデンティティを語る上でも欠かせない食材です。
古き良き伝統を守りながらも時代に合わせて変化するのが日本料理であるならば、フランス料理は革新的な技術と創造性の連続から生まれる
多様性ある料理と言えるでしょう。そこに重厚感とインパクトを加える食材がフォワグラであり、なくてはならないエッセンスです。

昨今の世界情勢で原材料が高騰していることにより、その価格が2~3割上昇したフォワグラは、今年の日本のクリスマスではとても貴重な食材となることでしょう。
欧州の鳥インフルエンザやウクライナ情勢はそれにトドメを刺してレストランやコース料理でも最近は見なくなりましたね。

いろいろな意見が多いフォワグラですが、腕の良いフレンチシェフが作るフォワグラ料理の数々は言葉では言い表せない魅力を放っていると思います。
濃厚で重いイメージがあるフォワグラですが、脂肪酸を多く含んでいるので、血液中の悪玉コレステロール値を下げてくれる働きがあります。

バターやチーズ、肉料理を沢山食べるフランス人が動脈硬化や心臓病の発症率が低いのも、もしかしたらフォワグラが貢献しているのかもしれませんね。

 

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