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1.「スペインバル」ってなんだろう?

そう思ってこちらの記事にたどり着いた方もいるかもしれません。
BARと書いて、イタリア後の発音では「バール」、スペイン語では「バル」と言われてます。スペインの食生活に欠かせない「バル」とはいったいどういった所なのか、今回は詳しくまとめてみました。

 

2.一日5食のスペインとは。

スペインは「1日に5回の食事をする」と聞いたことがある、という方も多いとおもいます。
ガイドブックの類では、こんな感じで紹介されています。

1)朝起きたらパンなどで軽く
2)11時ころ昼前の小休憩に2度目の軽食
3)14時ころから一日のメインの食事となる「昼食とシエスタ(昼寝)」に約3時間
4)18時ころおやつを食べます
5)21時ころに夕飯を摂る、これがスペインの慣習

われわれ日本人からみれば、スペインの人ってのは一日5回も食事をして、それも「バル」ってところで外食ばかり、シエスタ(昼寝)までして、どれだけ裕福な生活をしてるんだろうか?そんな風に思ったりしませんか?それについて調べてみました。

 

3.豊かな大地と海の幸。

スペインは、17の自治州から構成されています。
スペイン本土は山地や高原に覆われてる一方、南部と東部は地中海に面し、北西部は大西洋に面しています。

気候は、全国的に地中海性気候(冬は温暖で雨が多く、夏は高温で乾燥する)ですが、北部は西岸海洋性気候で1年をとおして雨が多いのに対し、本土から南西に離れたカナリア諸島は亜熱帯気候に属します。

これだけ多様な気候や風土・文化・習慣があるため、当然ながら素材も調理法も地域により様々です。地域の特産品をいかした、その土地・土地の料理があり、一般的には、北は煮込み料理・中部では焼き物・南部では揚げ物と言われることがあります。

 

4.実は貧しい国だった「スペイン」

1960年代の観光産業がブレイクするまでは、庶民の生活はとても貧しかったです。

1936年~1939年の内戦、その後フランコ将軍の独裁体制は1975年まで続きました。

シエスタ(昼寝)が一般的になったのは、内戦後のこと。内戦後の貧しいなかでダブルワークが求められ、民衆は一度自宅に戻って休んでから再び出勤をせまられました。
昔は男性は外で働き、女性は家事に従事する。外食する余裕など無い時代に13:30頃一旦退社して自宅に戻り、昼食とシエスタ(昼寝)後、16:30に再び出社して20時まで勤務していました。
またシエスタ(昼寝)は旅行本に書いてあるように「スペイン全土の、すべての人」にあてはまるというわけでもありませんでした。

内戦後のスペインは、全国一律の配給制度による貧しさの中、「闇市」が横行し1950年代初頭まで食糧不足が続き、民衆は窮乏しました。農民がラードの代わりにオリーブオイルを料理に使うようになったのもこの時期と言われています。

夜は「バル」に立ち寄るわけですが、各家庭にテレビが無い時代、バルの白黒テレビに群がって闘牛を観るなど、ささやかなおつまみ「タパス」とお酒を楽しむ社交の場であったわけです。

その後、1955年には国連に加盟しましたが貧しさは続きます。

 

5.転換期 –観光産業で経済発展-

1960年代、この貧しい国「スペイン」は、観光産業により急激な経済発展を遂げます。
諸外国の人たちが「自分達の日常と異なっているスペイン文化」に魅せられ、観光客が押し寄せることになりました。

Reference-02

スペインを訪れる観光客の推移

参考文献:立石博高著「世界の食文化(14)スペイン」

 

これに伴って、観光客にはスペインの地方料理・郷土料理が人気となり、スペインの人たちも地方から首都への労働・移住が増えました。北西「ガリシア州」のポルボ・ア・フェイラ(タコのガリシア風)などが、内陸の首都マドリードで普及し国民料理の地位を獲得した理由もここにあります。

このように1960年代以降、観光産業の発展から、各地の郷土料理が「スペイン料理」として分類されるようになりました。

 

6.南中時刻の違いにみる異国文化。

スペインの「南中時刻(太陽が真南にある時刻)」は、夏が14時15分頃・冬が13時15分ころです。東京での南中時刻がおおよそ11:30~12:00であることをおもえば、スペインの昼食時間が「遅め」になるのも納得です。

スペインの昼食は14時頃から始まることや、シエスタ(昼寝)のあとは日没に合わせて軽食(タパス・小皿料理・おつまみ)を食べ、その後21時ころから夕食をとると言う異国文化が観光客にもうけたわけです。

スペインには、バラエティに富んだ「地方料理」「郷土料理」が数多く存在します。地方の料理をベースにしながら、レストラン・タヴェルナ(居酒屋)・バル(立ち飲み居酒屋)での食事を楽しむ、観光客にとっては翌日も休みのうえ夜は遅い時間までタパス(小皿料理)で気軽に楽しめる食文化は、受け入れられたわけです。

 

7.現在のスペイン -Bar(バル)の昨今-

経済成長とともに、
1981年にスペイン国内で初のマクドナルドがオープン
1982年に北大西洋条約機構(NATO)に加入
1986年にはヨーロッパ共同体(欧州連合)に加入
1992年にはバルセロナオリンピックを開催、
マクドナルドに話をもどせば、2005年にはその数355店舗と経済発展してます。

若者は、年配の方々が集う社交場「バル」よりもファーストフード店を好む傾向があります。

なお、2006年から、スペインでは国家公務員は18時退社を義務化。共稼ぎが増え、職場と自宅の距離も離れるなどの現状から、自宅に帰って休憩することがなくなったとのこと。

これがメディアを通ると「スペインは正式にシエスタを廃止した!」にゆがめられて一部では認識されているようです。

 

8.まとめ

時代の流れや環境が代わっても、古きよき時代の文化には、とてつもなく力強い魅力を感じます。

こちらの記事を書き始める時には、「バルとは何か?」について、せいぜい10行くらいで終わらせようと思ったのですが長くなってしましました。

理由は、「バルとは? 小皿料理を楽しめる立ち飲み居酒屋」のように表面的なことじゃなくて、もっと・もっと深い歴史があるんだってことを私たちスタッフが良く理解することが大切なんだ、と思ったからです。

お客様に本当に満足していただくためのお店つくり、オープンまであと数日、毎日がバタバタしております。
ここまで読んでくださったあなた様に感謝もうしあげます。

どうぞこれからも、よろしくお願い申しあげます。

有明ワシントンホテル(有明パークビル)2階
スペインバル
ガリシア -GALICIA-
店長 角 田 崇

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